2012年6月17日日曜日

マルケスとエスパルガロのアクシデントについて

本当はいよいよ噴出して来たタイヤワンメイクの問題について書こうと思っていたのだが、カタルニアGPのMoto2クラスで起きたマルケスとエスパルガロのアクシデントが意外な程話題になっているので、今回はその事について書いておきたい。

先ず、この二人の接触は単純なレーシングアクシデントであり、双方に非がないのは火を見るより明らかだ。そもそもペナルティが課せられる様な事象ではないし、FIM(国際モーターサイクリズム連盟)の審査委員会がそのペナルティをキャンセルしたのは当然の結果と言える。それをチーム・ポンスがFIMのCDI(国際規律法廷)に控訴するという異常な事態になっている。


ポンス・40・HP・トゥエンティ、ペナルティキャンセルの裁定に対して控訴

では、アクシデントの詳細を振り返ってみたい。残り3周の10コーナーで3位走行中のマルケスが立ち上がりで少しアクセルを開け過ぎたのか一瞬リアが流れ出しハイサイドを起こしかける。

ハイサイドというのは、リアタイヤがスライドし過ぎた時、ライダーがスライドを抑えようとしてアクセルを戻した時、その戻す量が大き過ぎリアタイヤのグリップが急激に復活した時に発生する。

レーシングタイヤのグリップ力は強力であり、サーキットの路面のグリップ力も一般道とは比べ物にならない位高い。その強力なグリップ力は急激にマシンを起き上がらせようとする方向に作用する。その力は、時にはバイク毎ライダーをアウト側に放り出してしまう程強力なものだ。

マルケスは素早く対応して、ハイサイドを押さえ込み転倒は免れるが、その結果としてバランスを崩したマシンはコーナーのイン側に切れ込んで行く。そしてイン側を走行していたエスパルガロと接触し、エスパルガロは転倒。そして、もしイン側にエスパルガロがいなかったらマルケスはおそらくコースアウトしていたと思われるが、エスパルガロのマシンがクッションになりコース側に押し戻してくれる形になった為にコースアウトを免れ走行を続行する事となり3位でフィニッシュした。

マルケスはハイサイドにより転倒しかけるというビッグ・アクシデントに見舞われた直後であり、バランスを崩しているマシンをコントールしきれていなかった。角度的に後方にいたエスパルガロは接触直前まで見えていなかった筈であり、エスパルガロに気付いてからでは何かをする時間的猶予はなく、彼に接触を回避する事は不可能だったのは明らかである。

マルケスに何かミスがあったかと言えば、バトル中にミスをして転倒しかけたというだけであり、それはレーシングアクシデントであって責められる事ではない。

対するエスパルガロは、マルケスの後方にいて一部始終を見る事が可能だったのだから、この接触を避けられる可能性があったのは彼だけだと言える。しかし、突然の事に何の対処も出来ず気がついた時にはマルケスのマシンがどんどん近づいて来て、何とか接触を避けようと減速しながらイン側に避けようとしている様に見えるが、イン側に切れ込んで来ているマシンをイン側に避ける事が出来る筈も無く、なす術も無く接触してしまったという形だ。

もし転倒を避けられたとすれば、マルケスが転倒しかかった瞬間にアクセルを緩め、マルケスのマシンがその後どの様な挙動を示すか注視し、イン側に切れ込んで行く兆候が見えたら素早くアウト側に回避する行動を取っていたら避けられたかも知れない。しかし、まだ経験が浅いエスパルガロにあの瞬間にそれだけの冷静な判断と行動が取れなかったとしても無理はないだろう。

従って、この接触に関しては双方に非は認められない。単に転倒しかけてバランスを崩したマルケスをエスパルガロが避け切れなかったというだけである。

しかし、このアクシデントに関し、転倒しかけたマシンがイン側に戻って来る事は通常あり得ないので意図的にマルケスがエスパルガロに抜かれまいとしてイン側にマシンを寄せたと思い込んでいる人も多い様なので、ハイサイドを起こしたマシンが転倒を免れた後イン側に切れ込んで行く事は充分あり得るという事を説明しておきたい。

先ずはコーナリングの原理を説明すると、マシンにはコーナリング中遠心力が作用し、遠心力はマシンをコースのアウト側に押し出そうとして作用している。それをライダーは遠心力に逆らいマシンをイン側に倒し込む事で、マシンをバランスさせてコーナーを旋回している。

つまり、コーナリング中マシンは、遠心力とイン側にマシンを倒そうとする力が鬩ぎ合っているという状態にあり、そのバランスが崩れるとアウト側に膨らんで行くか、イン側に切れ込んで行く事になるのである。

マルケスのマシンもリアスライドを始めた瞬間からマシンはアウト側に流れ始めている。リアスライドが突然だったからなのだろう、マルケスは右足がステップから外れる程体制を崩している。

この写真はTVのキャプチャ画像だが、リアがアウト側に流れ始めているのと、マルケスの外足がステップから外れているのが分かる。

この時反射的にアクセルを緩めたのだろうリアタイヤのグリップ力が復活しマシンハイサイドを起こしマシンは起き上がりかけるが、マルケスは素早くマシンを押さえ込む事に成功している。

この写真と上の写真を見比べると、瞬間的にいかに大きくマシンが起き上がっているか分かるだろう。スライドを始めた段階ではルティとはテールトゥノーズの距離だったが、既にここまで距離が開いている。マルケスがアクセルを戻してハイサイドを誘発した事が分かる。

この辺りのハイサイドを押さえ込んだマルケスの対応の素早さは見事だと言えるが、あるいはリアスライドを起こした瞬間外足が外れた事で、マルケスの体はイン側にずり落ちかける様な体制になっており、その為意図せずイン側に体重がかかる様になっていたのが功を奏したと言えるかも知れない。

どういう事かというと、あれだけマシンがバンクしている状態で外足が外れたら、マルケスはバイクからずり落ちてしまったとしてもおかしくない。そんな時とっさにどうするだろうか?ずり落ちまいとするだろう。外足はステップから外れているので役には立たない。頼りになるのはハンドルを握っている手だけだ。マルケスはずり落ちまいと無意識の内にハンドルに力をかけ、つまりハンドルには車体を下に押し下げようとする力がかかった筈だ。

通常であれば、そんな事をすればマシンは簡単に転倒してしまっただろう。しかし、ハイサイドのマシンを引き起こそうとする力がそれを上回る大きさで作用し、逆にマシンを2枚目の写真の角度まで起き上がらせた。逆に言えばマルケスがずり落ちまいとハンドルに力を入れていなければ、マシンはもっと勢い良く起き上がり、マルケスはアウト側に放り出される形で転倒していたかも知れない。

そして、マシンの起き上がる力によって、ずり落ちるどころかマシンから浮き上がる様になったマルケスの体は、ハイサイドが収まると今度はマシンの上に落下する事になる。そして、その瞬間からマシンはイン側に切れ込んで行く。

マルケスの体重がそれまでよりマシンに荷重されるという事は、マシンをイン側に倒し込む力がその分増す事を意味するからだ。

この連続写真を見ると上の写真ではマルケスのお尻がシートから浮いているのが分かるだろうか?分かり難ければ膝の角度に注目して欲しい。上の写真では膝が伸び気味であるのが分かる筈だ。下の写真ではマルケスの体は通常のポジションに戻っている。この瞬間マシンから浮いていてマシンに荷重が余りかかっていなかったマルケスの体重がしっかりと荷重となってマシンにかかる事になる。そしてその瞬間からマルケスのマシンはイン側に切れ込んで行く。

これは先ほどの遠心力とマシンを倒す力のバランスを思い出せば何が起こったかが分かると思う。ハイサイドによる転倒が回避されたという事は、ハイサイドがマシンをアウト側にはじき飛ばそうとする強大な力に勝る程、イン側にマシンを倒そうとする力が作用した事を意味する。

更に一瞬ハイサイドの力によって浮き上がりマシンから荷重が抜けたマルケスの体重が再びマシンに荷重され、マシンにはよりイン側に倒し込む力が力がかかったのである。

つまり、過剰にイン側に倒し込む力がかかった為にマシンはイン側に切れ込んで行く事になった訳である。

しかも、マルケスはリアタイヤがスライドを始めた時にアクセルを戻している。アクセルを戻したからハイサイドを誘発したのであるからこれは間違いない。

要するにアクシデントが発生した事による一連の流れの結果として、あのコーナーを普通に曲がるのに比べて、アクセルを戻し過ぎ(減速し過ぎ)、マシンを倒し込み過ぎの状態になったという事である。それではマシンはイン側に切れ込んで当たり前だというのが理解出来るだろう。

それでも納得いかないという方がいれば、TV中継の録画もしくはMotoGP公式サイトのビデオ(有料)で、接触する前の空撮映像のリプレイでマルケスとエスパルガロの走行ラインを良く観て欲しい。キャプチャ画像では前後のラインが分かり難いので走行ラインを書き加えてみたが、マルケスからエスパルガロを確認出来ない時点からマルケスはイン側にコースアウトするラインに乗っていて、エスパルガロと接触するまでそのラインを修正しようとする動作を見せていない。

接触前の空撮映像。分かり易い様に両者の走行ラインの軌跡とそれを延長したラインを引いてある。エスパルガロが完全に後にいてマルケスから見えていなかった段階からマルケスのマシンはコースの内側にコースアウトするラインに乗っているのが分かる。

これはマルケスが、普通にコーナリングしてコーナーを抜けられるラインを走っていない事を意味し、アクシデントの結果としてマシンのコントロールを失い、それを取り戻していない事を意味する。

通常のレース映像を見てみよう。この時点ではエスパルガロはイン側を見ていて、マルケスの方を見ていない。次の瞬間、マルケスがイン側に寄って来ているのに気付いてマシンを起こし気味にし、頭を上げている。しかし、マルケスの体制は全く変化せず後ろを振り返ろうとするそぶりもない。ずっと進行方向だけを見ている

おそらくはエスパルガロがマルケスに気付く前と気付いた後の連続写真。ヘルメットの中のエスパルガロの視線がどこを見ているか想像出来るだろう。その瞬間のエスパルガロの動揺がマシンの姿勢の変化に見て取れる。対するマルケスはただ前だけを見てラインをトレースしているだけで、マシンに何の挙動も与えていない。ラインを変更しようという動作をしていないのが分かるだろうか。
1枚目の写真でエスパルガロにマルケスが見えていないのだとすれば、マルケスにエスパルガロを見る事等絶対に不可能なのも分かる筈だ。

では、イン側に切れ込んで行くマシンを何故マルケスはライン修正しようとしなかったのだろうか?

これについては、それが出来なかったか、それとも敢えてしなかったのか、二つの可能性があり断定は出来ない。

先ず、出来なかったという可能性だが、ハイサイドを起こしかけるというのはビッグアクシデントだ。マルケスはかろうじて転倒を免れたが、もう少しでマシンから振り落とされる所だった。それをかろうじて押さえ込む事に成功し、必死でマシンにしがみ付いている所で、気が動転して何も出来ない状態だったという事は想像に難くない。

僕は10代の頃、友達と原付で地元のグランドに侵入して、ダートトラックレースごっこをして遊んだ事があるが、その時にハイサイドを経験した事がある。原付でスピードもせいぜい30〜40km前後しか出てなかったと思うが、それでも走行中のバイクが突然猛烈な力で起き上がり、バイクから放り出される様に転倒するというのは衝撃的な出来事だった。幸い怪我はなかったが、暫くは気が動転して落ち着くまでに結構な時間を要したのを鮮明に覚えている。

原付でもあれだけ恐ろしかったのである。600ccのレーシングマシンで、レーシングスピードで走行中にハイサイドに見舞われるというのが、どれほどの衝撃で、どれほどの恐怖を味わうものか想像して欲しい。

勿論精神的な動揺だけではない。昔、どのレースでライダーが誰だったか忘れてしまったが、多分250ccクラスのレースで、レース中にハイサイドを起こしかけ、それを押さえ込んで走り続けてフィニッシュ出来たライダーが、レース後、ハイサイドを起こしかけた時の衝撃で肋骨を骨折していた事が判明したという事があった事を覚えている。

当時、例え250ccでもレーシングマシンのパワーというのは侮れないものがあり、そのマシンでハイサイドを起こした時の衝撃がいかにすざましいものかと認識を新たにさせられたので、強く印象に残ってる。

想像して欲しい。600ccのレーシングマシンでレーシングスピードで走行中、先ずマシンからずり落ちそうになり、次の瞬間マシンが急激に起き上がり、次の瞬間には体がマシンから浮き上がって、今度はマシンの上に叩き付けられる様に落下したのである。

マルケスの体には瞬間的にそれも下、上、下と、断続的に反対の方向に相当大きなGがかかった筈である。特にずり落ちそうになった時にハイサイドによるマシンが起き上がる力がかかった時には、相対的にかなり大きな力がかかった筈だ。相当な衝撃だっただろう。その時、手首や肩にも大きな衝撃があったのではないかと考えられる。また、一連の動きの中でマシンのタンク等に胸や肘等を強打した可能性も高い。

だから、精神的動揺だけでなく、マルケスが肉体的ダメージを受けていた可能性もあり、アクシデントの直後で何も出来なかったというのは充分にあり得る事だと思う。

もうひとつ、敢えて何もしなかったという可能性だが、通常のコーナリングのアプローチミスであっても、コーナリング中に修正するのは容易ではない。ましてやコーナリング中にハイサイドを起こしかけて、その結果バランスを崩してイン側に切れ込んで行っているという状況で、リカバリしようとしてもそうそう出来るものではない。

無理に何かをしようとしても、却ってバランスを崩して転倒に繋がっていた可能性が極めて高い状況だったと言えるだろう。

そういうケースでは多くのライダーが何もせず、一旦コースアウトしてから充分速度を落として体制を立て直してコースに復帰するという事を選択する事は良くある。

今回の場合も、状況的にはそうするのがベストな状況だったと言えるだろう。マルケスがそう判断してベストな選択をしたのか、それとも実際には何も出来なかったのだが、結果的にそれがベストの選択になっていたのかは分からない。

でも、今回の一件を見る限り、アクシデントがあったにも関わらず結果としては転倒を免れただけでなく3位表彰台を獲得しているのは、たまたまエスパルガロがイン側でクッションになってくれた幸運も含めて、やはり何かを持っているライダーなのかなという印象を受ける。

これで、ハイサイドを起こしかけたマシンがイン側に切れ込んで行った理屈は分かったと思うが、では、ハイサイドを起こしかけたマシンは、転倒を免れた後必ずイン側に切れ込んで行くものなのだろうか?それはそうとは限らない。

ライダーがハイサイドを起こしかけたマシンを抑え込んだ時、ハイサイドを回避するだけの必要充分な力だけを的確にイン側にかけられるという事は先ずあり得ない。通常はハイサイドを回避しようとするあまり過剰に力をかけてしまう筈だ。その場合、ハイサイドによるアウト側への転倒は避けられても結局イン側に転倒してしまうという可能性も充分あり得る。

だが、ライダーによってはそれを察知してハイサイドを回避した次の瞬間マシンを引き起こす力を加える場合もある。ハイサイドに対応するだけでもかなりの対応力だが、更に瞬時に倒し込み過ぎと判断しマシンを引き起こす所まで対応するというのは、本当に世界選手権に参戦する様なトップライダーでなければ出来ない離れ業だと思うが、そういう例も意外と目にする機会は少なくない。

その場合は当然マシンはアウト側に膨らんで行く事になる。そしてそのような場合は一瞬の間にアウト、イン、アウトと大きな力が連続してかかった結果として、マシンにウォブル(振動)が発生する事が多い。ハイサイドを起こしかけたマシンが激しく振られながらアウトに孕んで行って、コースアウトしたりその後転倒してしまう事も時々目にする事があると思う。

その時発生しているウォブルにもちゃんと発生する原因があるのである。同じ様にハイサイドを起こしかけて立ち直ったマシンでも、ウォブルが発生する場合と発生しない場合があり、アウト側に孕んで行く場合とイン側に切れ込んで行く場合がある。そして注意深く観ていればアウト側に孕んで行くときはウォブルが発生している場合が多く、逆にイン側に切れ込んで行く場合はウォブルが発生しているケースは少ない筈だ。

そんな所にも注目してレースを観ていれば、よりレースを楽しめる様になるのではないかと思う。

さて、この様に今回のアクシデントは明らかにレーシングアクシデントであり、どちらのライダーにも非はないと言える。少なくともエスパルガロと接触するまで一度も後を見ていないマルケスに、その責任が問える筈もない。もし、どちらかのライダーにこのアクシデントを回避する事が可能だったかと言えば、それはエスパルガロでありマルケスには不可能だ。だからと言ってエスパルガロにも勿論非はなく、やや未熟だったとは言えるが、回避出来なくてもやむを得ないと言えるだろう。

では、どうしてドルナは一度はマルケスにペナルティを与える決定をしたのだろうか?

ここからは単なる僕の憶測だが、それはドルナが将来MotoGPを支えるスターに成長する事を願っているマルケスに、ダークヒーローにはなって欲しくないと考えているからではないだろうかと思う。

Moto2クラスの競争は激しく、度々接触転倒等のアクシデントが発生する。それはMoto2クラスのライダーがアグレッシブなライダーが多い事も原因になっているが、マルケスもそのアグレッシブなライダーの一人であり、度々そのアクシデントの当事者となっている。

ドルナは例えマルケスに非は無くても、マルケスがその当事者となりアンチマルケスファンからのバッシングの対象になる事を好ましく思っておらず、マルケスにあまりアグレッシブになり過ぎず、そういうアクシデントに巻き込まれない様慎重になって欲しいと考えているのではないか?

もし、マルケスに非があればペナルティを課す事でマルケスも反省するかも知れない。しかし、そうではないのでペナルティは課せられない。当然マルケスは反省する事なく、アグレッシブなレースを続ける。そしてアグレッシブなレースを繰り返す事で、またアクシデントの当事者になってしまう。

だから、カタールGPの時にはアクシデントを呼び込む様なアグレッシブなレースを慎む様マルケスに警告したのではないだろうか?それはあるいは、「次、アクシデントを起こしたら、例え君に非が無くてもペナルティを課すぞ。だから慎重なレースをしろ。」という様な意味を込めての事だったかも知れない。

いずれにしても、今回はもうマルケスをおとなしくさせるには実際にペナルティを課すしかないと思ったのではないかと思う。例え非が無くても理不尽なペナルティを課せられるとなれば、流石に少しは慎重になってくれると思ったのではないだろうか?

また、もうひとつの問題はエスパルガロがノーポイントに終わってしまった事だ。マルケスに非がなかったとしても、マルケスのアクシデントに巻き込まれる形でエスパルガロはノーポイントになってしまった。エスパルガロのファンからすれば、アクシデントの原因を作ったマルケスが3位のポイントを獲得し、それに巻き込まれたエスパルガロがノーポイントに終わったのはやり切れない思いだろう。

それはマルケスへのバッシングへと容易に繋がるだろうし、ますますアンチマルケスファンを増やす事になるかも知れない。

とにかくマルケスのイメージを大事にしたいドルナとしては、マルケスもノーポントにする事で痛み分けとして、少しでもエスパルガロファン、アンチマルケスファンの溜飲を下げたいと思ったのではないだろうか。

とにかく、今回のドルナの判断は大切なスターであるマルケスのイメージをダーティなものではなくクリーンなものにしたいという興行面の思惑が大きく作用していたのではないかと思える。

しかし、そのペナリティはFIMの審議委員会によりあっさり却下された。当たり前の事だ。この様な明らかなレーシングアクシデントがペナルティの対象になる様では、もうレースは成立しなくなってしまう。

そして、レースのジャッジが興行的な思惑によって左右される様な事はあってはならない。

ただし、マルケスにおとなしくなって欲しいというドルナの気持も分からなくもないが、その為にはもっと別の方法を取るべきだろう。

僕は今回のアクシデントの経験を通してマルケス、エスパルガロの両選手が、より慎重で安全なレースが出来るライダーに成長して欲しいと願って止まない。

アクシデント直後マルケスを批判していたエスパルガロは時間を置いて冷静になり反省したのだろう、非常に良いコメントを出しいる。彼がこの経験で人間的に大きく成長を見せた事は素晴らしいと思う。そして、その結果としてライダーとしても大きく成長して強いライダーになり良いレースを見せてくれる事を確信し期待したい。


2012年6月4日月曜日

ドゥカティ GP12の現行エンジンはスクリーマーなのか?

2011年の年間を通して、ドゥカティに何度もフレームを造り直させ、ついに日本車的なオーソドックスなアルミツインスパーフレームを投入させたロッシの2012年シーズンは順調にスタートするかに見えた。

事実、セパンで行われた1回目のプレシーズンテストでは、昨年のポストシーズンに登場した通称GP Zeroから更にフレームを一新し、完全なニューマシンとなったGP12が持ち込まれ、初日こそロッシは好タイムを記録し、シェイクダウンしたばかりのマシンとしては非常に好調だと上機嫌だったが、テストが進み回りのライダーがタイムアップする中ロッシは低迷。僚友のニッキーはおろか、サテライト仕様のGP Zeroに乗るバルベラの後塵を排する事も多くなり、出口が見えないままプレシーズンテストのスケジュールが終了し、迎えた開幕戦カタールGPでは予選12位から決勝10位。レース修了後にはSBK転向を口にする程自暴自棄になっていたという。

続く第2戦スペインGPでは、予選ではMotoGPマシン最下位というだけでなくCRTマシンに乗るド・ピュニエにも抜かれ13位、決勝は9位に終わり、最悪の結果となった予選終了時にはとうとうロッシは「僕にはGP12が理解出来ない」という言葉まで口にする事態となった。

V.ロッシ『僕にはGP12が理解できない…』 - La ChiricoのイタたわGP

続くポルトガルGPでは、予選9位に終わった後、ついに僚友ニッキーのセッティングを参考にするというドクターの異名を持つロッシとしては屈辱的とも思える決断により、ようやく出口を見い出し、決勝7位と僅かながらリザルトを改善する事に成功し、迎えたフランスGPでは開幕以来待望していたウェットレースで、ケーシーと競り合ってみせただけでなく、ケーシーを打ち破って今季初表彰台の2位を獲得した。

今年に入ってからのドライでの目を覆いたくなる様なロッシの成績の低迷振りと、ウェットレースになったとたんドゥカティ移籍後2度目の表彰台、それも移籍後最高位の2位獲得との間のギャップの余りの大きさには驚かされる。いったいGP12に何が起こっているのだろうか?

ひとつにはウェットレースでは、ラップタイム自体がドライレースよりかなり下がる為に、フレームに対しての要求度も下がるという事が言えるだろう。トップスピードも高くないので、フレームにかかるGもドライ程ではなく、ブレーキングもドライ程ハードにかける必要がないので、コーナー進入時のフレームへの負担も小さくて済むだろう。

ロッシが悩まされているドゥカティのフレームの問題点も、ドライレースでのハイレベルなレースで限界点近くまで攻める事で露呈して来るものであり、レースのペース自体が低いウェットレースでは限界点まで攻める事もない為、フレームにも余裕があり問題点が露呈しにくいという事が言えるだろう。

それは逆に言えば、限界点付近ではドゥカティに対して優位性を持っているヤマハやホンダのフレームも、その利点を生かす所までペースが上がらないのでそれほど優位性を示すチャンスがないと言い換える事が出来るだろう。

実際、レースではロッシが久々にケーシー相手にバトルを見せたと言っても、あのロッシが立ち上がりで大きく膨らみ、クロスラインでケーシーに抜き返されるというシーンが何度も繰り返され、ロッシが本来の走りを取り戻したという訳ではないのは明らかだった。

ロッシの武器はハードブレーキングであり、それを利用してコーナー奥まで突っ込み、ライバルをパッシングするというのが、レースでのロッシの最大の見せ場であり、ロッシのライディングの最大の魅力でもある。

ただし、ロッシと並の突っ込み重視のライダーとの最大の違いはそれからであると言える。ブレーキングを遅らせて先行車をパスする。それだけなら、最高峰クラスのMotoGPに参戦するライダーのレベルならさほど難しい事ではない。しかし、コーナー前半で無理をすればコーナー後半にそのツケが回って来るのは当然であり、立ち上がりでコーナーを回り切れずアウト側に膨らんでいってしまい、折角パスしたライダーにクロスラインで抜き返されてしまうというのは良く見られるシーンである。

ヤマハ時代のロッシは違った。誰よりも奥深くまで突っ込んだとしても、立ち上がりでアウトに膨らむという事等なく、タイトなラインをキープして鋭くコーナーを立ち上がって行くのがロッシのライディングの真骨頂であり、コーナー進入で相手をパスをしてもコーナー立ち上がりのクロスラインで抜き返されるという事がほとんどないというのがロッシの強みであり、ロッシのライディングの芸術的な美しさの所以であると言えると思う。

そのロッシが立ち上がりで大きく膨らんでいきケーシーに抜き返されるシーンが何度も繰り返し見られたのは、ロッシがウェットでも本来の理想的なライディングを出来る状態ではないという事を示していて、ウェットになってドゥカティのパフォーマンスが改善されると言っても、決してフレーム特性が大きく改善される訳ではないという事を示していると言えるだろう。

では、ウェットでドゥカティが速く走れる最大の要因は何なのであろうか?実は当初ウェットでドゥカティが速く走れるのは何故か分からないとコメントしていたロッシも、フランスGP後、気を良くしたのかその理由の一端をエンジンパワーを落とす事が出来るからではないかと明かしている。

V.ロッシ:ロッシ終焉説を見返しましたね? - La ChiricoのイタたわGP

また、ロッシは低迷から抜け出せず喘いでいた時期のインタビューでドゥカティの問題点をエンジンが乱暴過ぎるからだと語っていたのだ。

V.ロッシ:ドゥカティに不満ぶちまけ独占インタビュー【前編】 - La ChiricoのイタたわGP

そして、実はフランスGPの前戦ポルトガルGPの事後テストで、ドゥカティは新しい仕様のエンジンのテストを予定していた。

F.プレツィオージ『エンジン3基目はシルバーストーン、4基目はラグーナセーカ』 - La ChiricoのイタたわGP

残念ながらこのテストは悪天候の為に延期となり、新仕様のエンジンのテストは先送りになった。しかし、その直後のフランスGPでロッシは2位表彰台を獲得し、その理由をロッシがエンジン特性にあると感じたという事は、やはりドライでのドゥカティの低迷の1番の理由は現行エンジンのエンジン特性にあると言えるのではないだろうか?

その事を考えた時、僕の頭の中にはひょっとしてGP12の現行エンジンはスクリーマーではないのか?という疑問が生じた。

しかし、ドゥカティのエンジンは800cc時代から既にビッグバンだった筈だ。そして昨年GP12の先行開発モデルをロッシが初テストした時のニュースではエンジンはビッグバンだと明記されている。

motogp.com ・V.ロッシ、デスモセディチGP12を初ライド

しかし、現行のGP12のエンジン形式に関しては特に明確な情報は得られなかった。

スクリーマーとは等間隔爆発の点火タイミングのエンジンの事で、ビッグバンとは位相同爆の点火タイミングを持つエンジンの事である。元々は2サイクルのNSR500の時代にホンダが有効性を確認したテクノロジーで、エンジンの出力特性がマイルドになり扱い易い特性になると言われている。

4サイクル時代になってもその有効性は確認され、ホンダは990ccのRC211Vから現在のRC213Vに至るまで一貫してビッグバンエンジンを採用していると思われる。

位相同爆はV型エンジンで開発されたテクノロジーの為、インライン4では採用が難しいと思われていたが、ヤマハはインライン4で位相同爆を実現するテクノロジー、クロスプレーンカムシャフトを開発し、ロッシが移籍した2004年から投入。それまでエンジンがピーキーで扱い難く、転倒が多かったYZR-M1が劇的に扱い易くなったと言われ、ロッシがそのエンジンをスィートだと高く評価していたのは有名な話だ。

そのYZR-M1のビッグバンエンジンをスィートと表現していたロッシが、ドゥカティのエンジンを乱暴と表現しているのが非常に気になったのだ。

V4とインライン4とエンジン形式が違いがあるとは言え、エンジン出力がマイルドである筈のビッグバンエンジンを同じ様に採用していたら、スィートと乱暴という正反対の表現になる程の違いが生じるものだろうか?

しかも、ロッシは昨年まではドゥカティのフレーム特性の問題に言及してもエンジン特性の問題を口にした事はなかったと記憶しているし、ビッグバンエンジンである事が明言されていたGP12の先行開発車をテストした時は特にエンジンが最高だと絶賛している。

だからこそ、ここに来て急にロッシがドゥカティのエンジンを乱暴過ぎると批判した事が唐突に感じられるし、エンジンが当初のビッグバンからスクリーマーに変更されたと想定すると、2012年になってからロッシの成績が昨年以上に悪化してしまった事も説明出来る様に思えるのだ。

では、もし本当にGP12の現行エンジンがスクリーマーだとして、どうしてドゥカティはその様な変更をしたのか?その理由を推理してみたいと思う。

推理1:ロッシが移籍してから主にフレーム特性の問題でロッシの低迷が続いている。メーカーとしてそのロッシの苦労をエンジンパワーの向上でアシストしたいと考え、ビッグパンよりエンジンのピークパワーを追求するのに有利なスクリーマーエンジンを採用したのではないか?

推理2:ドゥカティは990cc時代に一度スクリーマーとビッグバンを比較テストしているが、その時はカピロッシはビッグバンに特に有効性はないとしてスクリーマーを選択している。その後800ccの時代になり、排気量がダウンした分エンジン特性がピーキーで扱い難くなった為に再び比較テストを行い、その時はケーシー、カピロッシ共にビッグバンの有効性を認めてビッグバンを選択している。その経験からドゥカティは1000ccの排気量ではビッグバンの利点は大きくなくスクリーマーでも問題ないと考えているのではないか?

推理3:現在のレギュレーションでは1000ccエンジンのボア径が81mmに制限されている。これは990cc時代のボア径86mmより小さく、エンジンをロングストローク化する事でエンジンの高回転化によるコストを抑制する目的であり、デスモドロミックという高回転時のバルブ動作の安定性の高さを誇るドゥカティ自慢の特許技術の実力が発揮しにくくなる事を意味する。エンジニアからするとドゥカティの最大の優位性でもあり最大のアイデンティティでもあるこの技術の実力を充分に発揮出来ないというのは不本意であると考えられ、少しでも高回転型エンジンとしたいという考えからビッグバンより高回転型となるスクリーマーを選択したのではないか?

どれも完全な憶測に過ぎないが、ドゥカティというのはやはりエンジンパワーを最大の武器にしてきたメーカーであり、エンジニアにはエンジンパワーで他社に勝ちたいという気持が強くあるに違いないと思う。特に現在はフレーム特性の問題で成績が低迷しているという事もあり、ドゥカティのエンジニアの中には「フレームで勝てないならエンジンで勝てば良い。それがうちの勝ち方だ。」という考えを持つ者が多かったとしても不思議ではない。

特に990cc時代はそのエンジンパワーでは他社を圧倒しており、その時のエンジン形式がスクリーマーだったのだから、当時を知るエンジニアにはスクリーマーエンジンに対する抵抗感はないだろうし、むしろ1000cc化をチャンスと考え、990cc時代と同じスクリーマーエンジンに戻し、再びエンジンパワーで他社を圧倒する本来のドゥカティらしい姿を取り戻したいと渇望したとしても当然ではないだろうか?

その証拠にドゥカティのマネージャープレツィオージ氏は前述の記事の中で予定されていた新仕様エンジンについてこう語っている。 


「1000ccエンジンと言うものは既にトルクが大きいわけですから、それを増やしても役には立たないでしょうし…電子制御システムがより働くようになるだけでしょうね。確証を得るにはコースで走らせてみなければね…」


新仕様のエンジンは高トルク型であるが、1000ccのエンジンは充分高トルクなのでそれによる改善には懐疑的な様である。しかし、それでもテストしようとしていたのは改善出来るという考えの者がいたからだろうし、実際ウェットレースの為、エンジンパワーを抑える事で扱い易い特性になったと考えられるフランスGPでロッシが2位表彰台に立った現在では扱い易いエンジン特性の実現は重要なテーマである事がよりはっきりしたと言えるだろう。

また、ビッグバンエンジンというのは単純にトルクが大きいという訳ではなく、トルク出力の特性自体がスクリーマーエンジンと異なるので、扱い易いというのが正しい筈なのだが、これについてはプレツィオージ氏の誤解なのか、それともやはりGP12の現行エンジンはやはりビッグバンであり、新仕様のエンジンとはスクリーマーとビッグバンの様にエンジン形式が異なる程の根本的な違いがある訳ではない事を示しているかは判断がつきかねる。

エンジンを乱暴と評価したロッシ本人が同じインタビューで「エンジンは800だろうが1000だろうが全く変わりない」とコメントしているのも予測を難しくしている。

だとすれば、ドゥカティのエンジンは800ccでも1000ccでも出力特性に問題を抱えていて、排気量が1000ccになってパワーが上がった事でそれがより顕著になっているという事だろうか?

考えられるのは、ドゥカティのビッグバンエンジンがホンダやヤマハのそれとは方式が違って、ホンダやヤマハ程の充分な効果が得られていないのではないか?と言う事だ。

実はその疑問は990cc時代にカピロッシがビッグバンエンジンを評価せず、スクリーマーを選択した時から感じていたものだ。

ホンダは990ccのRC211Vを開発した当初から迷う事なくビッグバンを採用しているし、ヤマハがスクリーマーからビッグバンに変更して大きな成果を挙げたのも990cc時代の事だ。ドゥカティだけが、990ccではビッグバンは有効性は無く、800ccでは有効だと判断しているのである。それは何故だろうか?

当初僕はそれを単純にカピロッシがスクリーマーの出力フィーリングを好んだからではないかと考えていた。最初にビッグバンを採用したNSR500に乗っていたミック・ドゥーハンも当初ビッグバンの有効性を認めていたが、他のライダーもビッグバンに乗り横並びになってからは、一人スクリーマーを選択し、よりピークパワーに勝るスクリーマーを乗りこなす事で優位性を築こうとし、それに成功している。

僕はカピロッシも同様にスクリーマーのピークパワーと速く感じるフィーリングの方を選択したのではないかと考えていたのだが、元々ドゥカティのビッグバンエンジンには他社のビッグバンエンジン程の効果がないのだとしたら話は違って来る。

800cc時代にはエンジン特性がピーキーになった事で、効果が薄くても990ccの時よりは効果が感じられる様になっただけで、他社のビッグバンエンジン程効果はなかったのかも知れない。

そう考えると、YZR-M1のエンジンをスィートと評価していたロッシが「800も1000全く変わらない」と言ったのはドゥカティのエンジンは800cc時代からスィートではなく乱暴だったという事なのだろうか?と思えて来る。800cc時代に特にエンジン特性の問題に言及していた記憶はないが、単に公言しなかっただけで800cc時代から問題はあったのだろうか?

勿論そういう事も充分考えられる。YZR-M1のエンジンはタイヤに優しいと言われ、レース前半先行していたホンダをロレンソがレース後半逆転して優勝する事が多いのはその為と言われていて、そのタイヤに優しい理由がビッグバンによるトルク特性にあると言われている。

であれば、ヤマハのビッグバンエンジンとホンダのビッグバンエンジンは同じビッグバンエンジンでも出力特性は同じではないと言える。

それはヤマハのエンジンはインライン4であり、ホンダのエンジンはV4なので、その形式の違いが特性の違いになっているという事が大きいのではないかと思う。ホンダとドゥカティは共にV4だが、ホンダは狭角V4であり、ドゥカティは90度V4(L4)なのでやはり特性は異なるかも知れない。

また、同じビッグバンとは言っても、点火タイミングが全く同じとは限らないし、点火タイミングを変える事でエンジン特性も変わると言われている。他にもビッグバンエンジンの出力特性を左右する要素は色々あるかも知れない。

とにかく、今のドゥカティの不振の理由のひとつがその乱暴過ぎるエンジン特性による事はほぼ確かだろう。

僕がGP12の現行エンジンがスクリーマーだと疑ったのは、それならば問題解決はビッグバンにすれば容易だろうという希望的観測からでもある。

しかし、もし現行エンジンがビッグバンだとすれば、その根本的解決は難しいと考えざるを得ない。

そして、もしドゥカティのデスモドロミックL4エンジンが、ビッグバン化しても他社エンジン程扱い易い特性にはならないのだとしたら、その他社を圧倒するピークパワーを発揮する独自のエンジン形式に由来する個性だという事が考えられる。

僕は前項、前々項でドゥカティ独自のL4エンジンのレイアウトが優れたフレーム特性を追求するのにいかに不利であるかを考えて来たが、そのエンジンが出力特性の扱いづらさという面でも解決の難しさを兼ね備えたものなのだとしたら、ロッシの選んだ道はあまりにも険しいものだったと思わざるを得ない。

そしてインライン4エンジンというエンジン形式はフレーム設計の面でも扱い易い出力特性という面でも優れたエンジン形式なのだとしたら、益々理想のレーシングエンジンはインライン4だと言えるのではないかという印象が強くなって来た。

ただ、日本車的なアルミツインスパーフレームをドゥカティに投入する決断をさせたロッシでも、ドゥカティに伝統あるL4エンジンを捨てさせインライン4エンジンを投入させる事は出来ないだろう。出来れば、ドゥカティのエンジニアがL4エンジンをロッシ好みのスィートなエンジンに変身させる名案を見い出して欲しいと願うばかりだ。

いずれにしても今はドゥカティが投入を予定している新仕様のエンジンが功を奏して、ロッシの成績が改善される事を期待して、その投入を心待ちにしたいと思う。

*記事の中でLa ChiricoさんのBlog、イタたわGPを参考にさせていただきました。MotoGP公式サイト以上に有益な情報が満載の貴重なBlogで非常に有難いと思っています。