2014年8月22日金曜日

進化した電子制御はMotoGPライダーを振るいにかける試金石なのか?

MotoGPの2014年シーズンは、ドゥカティワークスがファクトリーオプションではなく、オープンカテゴリーでの参戦を決め、同時に共通ECUソフトウェアがドゥカティの提言によりアップデートされ、それにホンダワークスが意義を唱えた事で、前年未勝利のワークスチームに対し、実質オープンクラス同等の優遇措置を与えるという新ルールが急遽裁定されるというごたごたで始まった。

僕にはドゥカティの決定は当然だと思えた。そもそもドルナは、MotoGP全チームに対し共通ECU(電子制御)を使用する事を求め、ホンダ、ヤマハ両ワークスが強硬に反対した所から、完全共通ECUへの以降は16年シーズンからとなり、14年シーズンからは暫定措置として、ワークスチームは共通ECUのハードウェアの使用は義務付けられたが、ソフトウェアの独自開発は容認され、その代わり年間使用可能エンジン台数、ガソリンタンク容量等に厳しい制限が加えられる事になった。

ドルナがECUを共通化使用としている狙いは、電子制御の技術に劣るプライヴェートチームとワークスの格差をなくし、戦闘力の大きな差を少しでも減らして、レースをより接戦になるようにして面白いものにしたいという事である。

ファクトリーオプションの設定はそれに抵抗するワークスチームに対する制裁措置と言え、プライヴェートチームに対し、優勢となる独自開発のECUソフトウェアを使用する代わりに、別の方法でワークスチームとプレイヴェートチームの格差を小さくしようというのがファクトリーオプションの目的である。

つまり、ワークスチームが共通ECUソフトウェアを受け入れれば、この制限を受け入れるいわれはなく、特に現在ホンダ、ヤマハからマシン開発で大きな遅れを取っているドゥカティワークスが、シーズン中もエンジン開発が可能なオープンカテゴリーの利点に注目したのは当然だと思う。

ドゥカティは、何もオープンカテゴリーの優遇措置を得て、厳しい制限を課せられているホンダ、ヤマハワークスに勝とう等と思った訳ではないだろう。それが本当の勝利ではない事はドゥカティも分かっているだろうし、むしろ将来対等なルールの元でホンダ、ヤマハ両ワークスと対等に勝負出来るマシンを開発する為に、14年度は開発を進める事を最優先としオープンカテゴリーへの参戦という苦渋の決断をしたのだと思う。

また、オープンカテゴリーの優遇措置と言っても、ファクトリーオプションより1段階ソフトなタイヤを使えるという点は予選では有利に働くが、決勝では逆にファクトリーオプションと同じハードタイヤを使えない事がハンデとなってしまい、決勝で勝つ事を考えると必ずしも有利とは言えない。

ドルナのオープンカテゴリーへの優遇措置は、予選やレース序盤でオープンカテゴリーのチームにも目立つチャンスを与え、レースをショーアップしようという目的の元で設定されているものであり、実際のレースで有利になるという程の内容ではない。

だから、僕はホンダの抗議はやや意外に感じられた。

ところが事態は奇妙な決着を見た。各ワークスとドルナの協議により、ドゥカティにはファクトリーオプションのまま、つまり共通ECUを使用せず、独自開発のECUソフトウェアを使いながらオープンカテゴリー同様の優遇措置が与えられる事になった。

つまり、ドゥカティに取っては異議申し立てを受けた時よりも、より有利な優遇措置が与えられる事になったのだ。

そして、同時に16年シーズンから、各ワークスチームが平等に共通ECUの開発に関わる事が決定され、あれ程独自ソフトウェアに拘り、もし共通ソフトウェアが導入されたらMotoGP撤退をも辞さないと強硬な姿勢を示していたホンダワークスがそれを了承したのだ。

この決定により、ホンダワークスの意図がよく理解出来た。ホンダワークスはやはりドゥカティがオープンカテゴリーの優遇措置を受ける事でレースで有利になるという点に関してはさほど問題視はしておらず、むしろドゥカティワークスだけが先行して共通ECUソフトウェア開発に関与する事に対して問題視していたのだろう。

だから、ドゥカティが独自ソフトウェアを使いながら優遇措置を受ける事を認めたに違いない。その程度の優遇措置でドゥカティがホンダを脅かす事等ない事に自信があるのだろうとも言える。

そして、重要なのは共通ECUソフトウェア開発にどのメーカーも抜け駆けせず、平等に開発に関与するという決定の方がホンダに取っては重要だったのだろうと思われる。この決定をもって、あれ程強硬に反対していた共通ECUソフトウェアを受け入れたのだから、この決定がホンダに取って満足のいく決定だった事は間違いないと言っていいだろう。

ホンダが恐れていたのは、ドゥカティだけが抜け駆けして共通ECUソフトウェア開発に関わろうとした事であり、ホンダも平等に共通ソフトウェア開発に関われれば、共通ソフトウェアも容認出来るという事だろう。

当初、ホンダが共通ECUに反対しているのは、ECUがホンダの優位性がある分野であり、その優位性を失いたくないからだろうという憶測が主流だったが、ホンダの中本氏はMotoGP参戦は市販車の開発へのフィードバックが目的であり、現在の最優先技術であるECUの開発が出来ないなら参戦する理由がないと説明していた。

ところが、独自ソフトウェア開発ではなく、共通ソフトウェア開発に参加出来るだけで納得してしまったのである。

ECUでの優位性を保ちたかったという憶測は外れた事になるし、共通ソフトウェア開発に参加出来ても、それを市販車に直接フィードバックする事は無理ではないか?という疑問が残る。

では、ホンダの真意は何処にあるのだろうか?それを考える為に、先ずは現在のMotoGPに置けるECUの現状を考えてみたい。

一口にECUと言っても、それは複雑な要素が絡み合っていると考えられる。基本的には電子制御燃料噴射装置(EFI)から発展して行った、エンジンのパワーやトルクを様々な状況において理想的にコントロールするエンジンマネージメントシステムが核になっていると考えられる。

それ自体も重要な要素なのだが、リアタイヤのスライドを抑制するトルクコントローラーやウイリーを抑制するアンチウイリー等のライダーのライディングを補佐する様な機能が導入される様になって、MotoGPマシンが劇的に乗り易くなった事が、MotoGPに大きな改革を齎し、ECUが最重要なレーシングテクノロジーになったという事が出来る。

その事で、特にかつては非常に高度で難しかったリアのスライドコントロールが容易になった事が1番の変化だったという事が出来るだろう。

ヤマハの現エース。ホルヘ・ロレンソがMotoGPにデビューした2008年では、まだトルクコントローラーは導入されていなかったか、もしくは初期段階で充分な効果がなかったのか分からないが、この年ロレンソは何度も激しいハイサイドによる転倒を喫している。

そして、段々MotoGPの強烈なパワーをコントロールする事が可能になり、ロレンソはタイトルを獲得出来るまでに成長して行った。

この様に、500cc時代からその頃までは、二輪最高峰クラスというのは、有り余るパワーをいかにコントロールするかという事がライダーに求められるクラスであり、それは最高峰クラスに参戦を許された世界のトップライダーの中でもほんの一握りのトップオブトップのライダーにしか出来ない芸当だった。

それが出来ないライダーはよりパワーを抑えて走るしかなく、その分トップライダーとは明確なタイム差が出来ていたと言える。

ところがトルクコントローラーの進歩により、MotoGPクラスで派手なハイサイド転倒は滅多に見られなくなって行った。同時にトップライダーと中堅ライダーのタイム差は縮まり、一時はサテライトライダーがワークスライダーに混じって表彰台争いをする事は珍しくなくなり、実際に表彰台を獲得する事も少なからず起こる様になった。

だが、その傾向は再び変化を見せ始めている。昨年位から兆候はあったのだが、今年になってそれが明らかな程顕著になって来ている。

ブラドルやバウティスタの様なかつては表彰台に近い所でレースをしていたサテライトライダー達とトップを争う4強ライダーとの格差が明らかに広がって来ており、またブラドルもバウティスタも目に見えて転倒が増えており、一時はほぼ見られなくなった、激しいハイサイド転倒も見られる様になって来ている。

僕はトルコンによって、自力で高度なスライドコントロールが出来るライダーと、それが出来ないライダーの格差がなくなり、その差が接近して来た頃から、いずれ自力で高度なスライドコントロールの出来るトップライダーは、その優位性を生かす為にトルコンに余り頼らない走りを目指す様になるだろうと考えていたが、おそらく僕が想像していた事が現実になって来ていると考えられると思う。

そんな時、スズキの開発ライダーを務めている青木宣篤選手のブログでの解説でそれが裏付けられたと思う。

【青木ノブアツ】BLOG Nobu Aoki Racing Blog:土曜のインディアナポリスGP

トルコンにしろアンチウィリーにしろ、ライダーのライディングを補助する様な制御は結局パワーを抑える方向でしか作用しない。だから、トルコンを強く効かせて走れば、その分楽に走れてもトルコンが効けば効く程遅くなるという事が出来る。

逆にトルコンをなるべく効かせない様にすれば、効かせなければ効かせない程速くなると言えるだろう。

レースというのは、常に他のライダーより速く走る事を目指している訳だから、より速く走ろうとするライダーは、出来るだけトルコンを効かせない様な設定や走りを目指す様になって行くのは必然と言えます。

更に最近は、タイム計測の為の位置センサーを利用して、現在走行しているのがコースのどの場所であるか判断し、コーナー入り口やコーナー出口等できめ細かく制御を変えていると考えられます。

つまりコースの場所によって、トルコンの制御の仕方も違うだろうし、その効きの強さ等もきめ細やかに変化していると考えられます。

そして、出来るだけ多くの場所でトルコンの効きを抑える事が出来れば、その分速く走れる事になる訳です。

その為のECUのセッティングというのが、今は非常に重要になっていると考えられます。走行データを分析し、トルコンを弱めても大丈夫なポイントを見つけ出し、トルコンの設定を理想的な設定に近づけるのが、マシンセッティングの最重要項目になっていると考えられます。

また、逆にトルコンを強めに効かせないと速く走れない場所があるとすれば、それは現在のマシンまたはライダーの弱点を発見したという事も言えると思う。

それは、トルコンの効きを弱めても速く走れる様にするには、どこを改善すれば良いか?という事を判断するヒントになると言えるだろう。その部分をトルコンに頼らず速く走るには、マシンセッティングをどの様に変更すればいいのか?どういう改良を加えて開発すれば良いのか?また、どういう乗り方をすればいいのか?という事を考える指針になってくれるという事も出来るだろう。

つまりトルコンという技術は今は速く走る為の技術ではなく、トルコンに頼らずに速く走るマシン、トルコンに頼らずに速く走るライダーを教えてくれるツールになって来ていると考えられます。

速く走る為には必要な技術ですが、トルコン自体によって速く走るのではなく、トルコンがなくても速く走れるマシンが本当に速いマシンであり、トルコンがなくても速く走れるライダーが本当に速いライダーである事を判断する為に必要な技術になって来ていると思います。

どういう事か、分かり難いと思うので、ちょっと簡単な仮定の話をすると、同じマシン、同じトルコンの設定で、同じライダーが、同じコーナーを、なるべく同じ速さで走って、仕様の違う2本のタイヤを試したとします。

その時、よりトルコンの作動が控えめだった方のタイヤが、そのコーナーにはよりマッチしたタイヤであり、より強くトルコンが作動したタイヤの方はそのコーナーとのマッチングが良くない事が分かると言えます。

これを、タイヤを同じにして、サスペンションだけ変えたらサスペンションの良し悪しが、スイングアームだけ変えたらスイングアームの良し悪しが判断可能だと考えられます。

この様にトルコンの効き具合で、マシン開発の方向性や、開発したパーツの良し悪し等を判断する事が可能になって来ていると考えられます。

最近、ミシュランタイヤに合わせたマシン開発についてホンダの中本氏がこの様なコメントをしています。

SRダンディ別館:タイヤメーカー交代でHRCが恐れるのはコストの高騰

この中で、中本さんはブリヂストンタイヤに合わせたマシン開発が大変だった事を語っていますが、僕には凄く短期間で的確にそれを成し遂げたと感じられました。そして、ミシュランタイヤに合わせたマシン開発にも自信を見せています。

僕はトルコンによって、そのタイヤの特性に合ったマシンやパーツを的確に判断出来る様になったのが、その理由ではないかと思います。どんどん仕様違いのフレームを造って、走らせてトルコンの効き具合を分析すれば、そのタイヤとより相性の良いフレームは簡単に判別出来ます。しかし、より理想に近いマシンを開発するには、試作フレームや試作パーツを大量に作って実際に走って、走行データを比較分析する必要があり、開発費は高騰するという訳です。

そして、恐ろしい事にトルコンは、本当に速いライダーとそうでないライダーを判断する指針にもなって来ていると考えられます。

単純に言って、トルコンに頼らなくても速く走れるライダーが本当に速いライダーで、トルコンに頼らないと速く走れないライダーは、それより劣るライダーだという事が走行データで簡単に判断出来る時代になったと言えると思います。

今年、ワークス契約でLCRに所属していたステファン・ブラドルはHRCから次年度はワークス契約はしないと判断されました。サテライト契約でLCRに残る道もありましたが、ブラドルはフォワード・ヤマハに移籍する決断をしています。

思えばブラドルは1番良くない時期にMotoGPに進出したライダーだったと言えるかもしれません。彼がMotoGPにステップアップした2011年はまだ今よりもトルコンに頼った設定が主流だった時代で、おそらくMotoGPマシンが1番乗り易い時代だったのではないかと思われます。

ブラドルはデビューして直ぐにMotoGPマシンに高い順応性を発揮し、2008年のロレンソの様な激しいハイサイドを喰らう様な洗礼も受ける事なく、幾度となく表彰台まで後一歩という成績を残し、流石にホンダがワークス契約したライダーだけあるという印象を残しました。

しかし、2年目には待望の2位表彰台を1度獲得はしましたが、全体的には前年度から横這いという印象で、初年度でいきなりあれだけ順応出来たのなら、2年目はもっと大きな飛躍をするだろうという期待には応えられない成績だったと言えると思います。

そして、今年度はここまで転倒も多くランキングも低迷しています。ブラドルに取っては、MotoGP初年度、MotoGPマシンは思ったより乗り易く感じたのではないかと思いますが、年々トルコンの関与を減らす方向にECUが進化して、年々乗り難くなって行き、それに充分対応し切れなかったのではないかと思います。

トルコンに余り頼らず速く走る事が出来ているトップライダー達との差は広がり、それを詰める為にトップライダー達に倣ってトルコンの関与を減らす方向のセッティングに挑戦して転倒が増えているというのが現状だと思います。

HRCはそのブラドルの現状を見て、ワークス契約に相応しい実力のないライダーだと判断したのではないかと思います。

ワークス契約ではありませんが、同様に転倒が増え成績が低迷しているバウティスタもグレシーニホンダのシートを失う事になりましたが、おそらく同じ様に最新のECUセッティングのトレンドに対応出来ないのではないかと思います。

逆のケースもあります。ヴァレンティーノ・ロッシは、今年、チーフエンジニアを長年共に戦って来たジェレミー・バージェスからデータ分析に長けると言われているシルヴァーノ・ガルブゼラにスイッチして成果を上げています。

実際にロッシとガルブゼラがどの様に改善に取り組み成果を上げて来たか全貌を知る事は出来ませんが、その一端をロッシのライディングスタイル改良に見る事が出来ます。

ロッシはマシンバンク時の身体のオフセットを以前より増やし、恐らくはコーナリング時のタイヤのエッジグリップの向上を目指していると考えられます。以前より、ロッシのチームメイトであるロレンソの特徴はエッジグリップを生かしたコーナリングスピードの高さにあると言われていましたが、他のライダーよりエッジグリップが活用出来ていると言う事は、その分スライド量は少なくなっていると考えられ、その分トルコンの介入は少なく済んでいると考えられます。

トルコンの介入が少なければ、エンジンパワーは抑えられる事なく有効活用され、その分速く走る事が出来るでしょう。対してロッシがロレンソよりエッジグリップを活用出来ていないとすれば、ロレンソよりもトルコンが強く作用し、その分エンジンパワーが抑えられコーナリングスピードが落ちている事がデータではっきりと突きつけられる筈です。

それを明確に提示されたからこそ、ロッシはエッジグリップを活用出来るライディングスタイルを模索し、その効果を走行データで確認しながら成果を上げて来たと考えられます。

この様にトルコンの作用度を軸としたマシン評価、ライダーのライディング能力の評価というのは、非常にシビアなものになって来ていると考えられます。

ライダーはこの明確な評価基準から目を背けたり、誤摩化したりする事は出来ません。ロッシの様にデータで明確に自分の弱点を指摘され、それを改善出来るライダーこそが、ワークスライダーとして相応しいライダーだと評価され、それが出来ないライダーはワークスライダーとしての資格がないと判断されてしまう時代になったという事が出来ると思います。

ここで、話を戻しましょう。MotoGPでECUを開発するのは市販車の為という中本氏の言葉は半分は本当で、半分嘘だと僕は考えています。

最早、MotoGPにおけるレーシングテクノロジーとしてのECUはブロドルの様なMoto2世界チャンピオンレベルのライダーでも対応が難しい程先鋭化されたものに進化してしまいました。

これ以上のECUの開発が市販車に直接フィードバック出来るものであるとは到底思えません。ただし、間接的なフィードバックの為に最先端技術に触れておく事は必要だと考えられます。だから、中本氏は独自開発は出来なくでも共通ソフトウェアの開発に参加出来るだけでも充分だと考えたのでしょう。

そして、それ以上に重要なのは、市販車の為ではなく、やはりMotoGPのレースに勝つ為です。今やMotoGPにおけるECUの役割は足し算ではなく引き算です。

トルコンは重要ですが、重要なのはトルコンをなるべく使わない様にする事です。ですので、トルコンの性能を向上させる為の開発というのにはもうそれ程拘る必要はありません。本来使わないで済むのが理想のものを向上させる事に開発費を使うより、どうすれば使わないで済む様に出来るかという事に開発費をかけた方が有効なのは言うまでもないからです。

共通ソフトウェアで他のチームも同じ性能のトルコンを使用するのであれば、有利でも不利でもないからOKだと言えます。むしろ他のチームに差を付けるのは、いかにそのトルコンを使い過ぎない様にするか、トルコンの介入を最小限に留めるかという事になっているのです。

その為にはECUデータの分析が重要になり、その分析の為にはECUソフトウェアの内容を良く理解している必要があります。つまり共通ソフトウェアの開発に参加するのに拘ったのは、参加しないとソフトウェアのアルゴリズム等を詳細に知る事が出来なくなり、その分不利になると考えたからだと思います。

おそらく中本氏はECUのデータを分析し、それを開発に生かす技術に関しては他メーカーに負けない自信があるのでしょう。それはソフトウェアの開発には直接には関係ない部分なので、共通ソフトウェアの開発に参加しても、そのノウハウを他社に知られる心配はありません。

勿論、共通ソフトウェアの開発に関しても、自社のソフトウェア開発のノウハウを容易く他社に教える様な気もないでしょうから、それ程積極的に開発をリードする気もないでしょう。ただ、MotoGPマシンのECUを開発するというのは、やはり最先端には違いないので、それに参加している事で得るものはある筈です。

ただ、それは同じ様に他社も得る訳で他社と競争する為の武器にはなりません。しかし、それを得る事が出来なかったら、他社に遅れを取る可能性もあります。だから、MotoGPから撤退し、共通ソフトウェア開発に参加する機会を失う事はデメリットにはなると言えるでしょう。

これが、ホンダが独自ソフトウェア開発が認められなくても、共通ソフトウェア開発に参加する事で、MotoGP撤退を撤回した理由だと思います。

トルコンの様にライダーの能力を補助する様な技術が開発されても、結局レースの世界ではそれをなるべく使わない方向にライダーが進化していってしまいます。

だから、僕はこの際トルコンは全面禁止にした方が話が簡単でいいと思うのですが・・

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